恋するplants
いつの間に彼女を目で追うようになった。
友達と楽しそうに笑い合う声や、祖父の指導に耳を傾ける真剣な眼差し、彼女の全てが魅力的だった。
「うわぁ~、芹くんってすごく字が上手なんだね~」
隣から聞こえた感嘆の声に思わず振り向く。
目をキラキラさせて、ナズナが俺の字を見ていた。
「ナズナも早く芹くんみたいに上手に字がかけるようになりたいよ~」
そう言ってにっこり微笑みかけた。
ナズナちゃんが字を誉めてくれた。
上手だって。
それだけで、嬉しい。
「あ・・・ありが・・・」
お礼を言う前にナズナちゃ~んと誰かに呼ばれ、そっちの方に行ってしまった。
彼女は人気者なのだ。
ドキドキしながら、出来上がった書を見た。
今までで一番上手に書けた気がした。
俺は彼女に恋をしていたんだ。