恋するplants
ナズナが書道教室に通い始めて半年くらい経った時、どうしても好きの気持ちを抑え切れなかった俺は教室の後、彼女を呼び出し、告白をした。
苛められっ子の俺に普通に接してくれる彼女に、字を誉めれくれた彼女に、君が好きですと伝えたかった。
誰もいない公園で、ブランコに乗りながら、「ナズナちゃん、いつも優しくしてくれてありがとう。僕、ナズナちゃんのことが好きだよ」ありったけの勇気を振り絞って、彼女に伝えた。
彼女はじっと俺を見ていたけれど、地面を蹴ってブランコを漕ぎ出した。
「芹くん、芹くんはナズナと釣り合ってると思う?」
「え?」
「ナズナ、デブ嫌いなの」
いつもの愛らしい笑顔から出てきた言葉とは思えず、思わず耳を疑った。
「ナズナちゃんはこんな僕にも、いつも優しくて・・・」
「別に芹くんに好かれたくて優しくしてたワケじゃないよ」
「え?」
「葵(あおい)くんがね、芹くんがいつも1人でかわいそうだって言ってたから」
葵くんは同じ書道教室に通う6年生だ。
彼も俺に普通に接してくれる優しい子だった。
「葵くんもナズナのこと好きなんだって。だから、もう、ナズナは書道教室辞めることにしたの」
悪気なく言う彼女はやっぱりかわいかった。