恋するplants


 次の瞬間、目をかっと開き、中腰になって、とんと筆を紙の上に置いた。


 大きな紙の上の部分、左から右へと筆を滑らせる。


 「はい!」


 「はい!」


 声を上げ、体全体を使いながら踊るように書を描く。


 大きな筆をタライに戻すと今度は少し小さな筆に持ち替えて、横書きした文字の下から今度は上から下へと向って文を書き始めた。


 部長の躍動感のある動きに俺は息がつけなくなった。


 瞬きするのも忘れ、彼女の動きをただ目で追っていた。


 半紙の左下にサインをすると、横から2人が半紙を持ち、せーのの掛け声でこちらに書いた文字が見える様、半紙を起こした。


 よく見たら最近よくTVで耳にするヒット曲の歌詞だった。


 すごい、たった数分のことながら圧巻されてしまった。


 「すごいです、先輩!」


 興奮したお豆くんが立ち上がり、拍手をしてながら叫んだ。


 「まだ練習中だからちょっとバランス悪いかな?」


 柊部長が照れたように自分の書を覗きこんだ。


 
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