恋するplants


 「豆田が私に声を掛けた時も、先輩たち、私の前でさっきみたいに書いてくれたの。すごいと思ったわ」


 すごい・・・同感だ。


 「私もやってみたいって思ったの」


 「そう・・・」


 相槌を打つと丸太さんは黙り込んだ。


 俺から何か話し掛けることもなく、野球部が校庭のトラックをランニングする様子を眺めていた。



 「・・・お爺さん、亡くなってたんですってね・・・」


 丸太さんがぼそりと話す。


 「それも、ぼたん先輩から聞いたの?」


 「・・・えぇ、白根くんが書道を辞めたっていうから、ぼたん先輩が何か知ってるんじゃないかって・・気に障るようだったらごめんなさい」


 「いや、いいけど、ぼたん先輩は何て?」


 「大好きだったお爺ちゃんを思い出すから筆を持つのが辛いんじゃないかって」


 ぼたん先輩にはそこまで話してなかったけど、鋭い・・・


 「・・・学校新聞に自分の字で偉人の言葉を書こうと思ったのは何故?」


 「ぼたん先輩が書いた字の方が味があるんじゃないかって・・・俺の字が上手だからって言われて嬉しくて・・・」


 「誉められて嬉しかったから引き受けたの?」


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