おれんじいろ
ふらふら歩いた。

向かう場所なんてないし。

でも歩く足を止めてもどうにもならないし。


私は何気なく店に入った。


ここはレンタルビデオ店…?

奥に行くと本も並んでいる。

私はなんとなく眺めながら歩く。

あ…

ふと、目についたのは問題集。


手に取り、その手に力がこもった。


こんなところにまで来て、なんでこんな物を握っているんだろう。


バカみたい…


こんなもの…こんなもの…





不思議だった。

そこからの行動は自分でも意味不明で、無意識だった。



「おいっ!」



ビクッと肩が上がる。
振り返ると男が立っている。
私は手を掴まれていた。



我に返る。

驚いた。

手に持った問題集を私は自分の鞄に入れようとしていた瞬間だった。
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