おれんじいろ
「は、離してっ!」

強く手を掴まれ、走る足も止まった。

どうしよう…

まさか追いかけてくるなんて。


このまま警察に…?


最悪な方向を考えてしまう。



「離したらまた逃げるだろうが。」
息は乱れているけど、ひどく冷静な声だ。

「それはっ…。あなたには関係ないでしょ!あんなの…未遂だしどうでもいいじゃん!」
口ごもって、もう開き直るしかなかった。

「どうでもよくはねぇだろ…ってか、やっぱり万引きしようとしてたのか。」

「っ!?そう思って捕まえに追いかけてきたんじゃないの?」

「いやまぁ…捕まえるってか…凄い勢いで逃げるから、つい…。」

「つい?」

「気付いたら追いかけてただけだ。」

「はぁ?」

なに言ってるのこの人?

「じゃ、じゃあほっといてよ。結局なにもしてないんだし、もういいでしょ?」
< 17 / 22 >

この作品をシェア

pagetop