おれんじいろ
「ああ…まぁそれもそうだな…。」

本当になんなのこの人。気の抜けたような言い方だし…
私の焦りを返してよ。

「でもなぁ。」

「なによ?」

「やっぱまずいんじゃねぇ?」

「な、なにが?未遂なんだからもういいでしょ?」

「いやいやそうじゃなくて、この時間こんなとこ制服でうろうろしてたら、そのうちお巡りさんに呼び止められるよ?」

あ…。
制服に目をやる。
そんなこと、何も気にしていなかった。

「てか…どこの高校?その制服あんをま見たことないけど。」

「べ、別にどこでもいいでしょ!」

「まぁ、別にいいけどよ。早く帰ったほうがいいんじゃねぇか?」

そんなところ…ない。

「帰る場所なんてないから。」

「はっ?」

「家に帰るつもりはないの。だからどうでもいいんで、じゃ…。」
私はその場をすぐに離れようとした。

「いや、ちょっとちょっと…!」
またもや手を掴まれ立ち止まる。

「もぉ!なんなの?離してってば!」

「そんな怒るなよ!家帰らないなら友達ん家でも行くのか?まさかどっかふらふら行くつもりじゃねぇよな?」

「……だったらなに?別にあなたには関係ないでしょ!」

もう、ほっといてほしい。

「そりゃ関係ないけど…こんな時間に一人で歩いてたら危ないぞ?」




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