あたしじゃ駄目なの?
side 椎香


あたしは今から航太と別れる為に
航太を中庭に呼び出した。



待つこと10分。


まだかな?


「……百原。」


「…航太。」


来てくれた。


なんかまた喜びがでてきたよ。


航太、やめて。そんな悲しそうな顔しないで。


まるで、今からあたしが言う言葉が分かってるみたいじゃん。



やめてよ。




「百原。話って…「別れよ」は?」


「だから、聞こえなかった?」


ヤバイ。声が震える。


「別れよ。」


「うそ…だろ?」


嘘?嘘だったらどれだけいいか。


「本当よ。…もう、疲れたの。あなたが他の女子とイチャイチャしてるところをあたしは何回我慢すればよかった訳!?……あたしは航太が大好きだったよ。」


「……ごめん。…俺、百原に嫉妬して欲しかった。……百原は俺のこと、本当に好きなのかなって不安に思ってて…。」


「嘘よ。嘘吐かないで。」


「なっ…なんだよ!嘘って!!俺は本当のことを言っただけだ。」


「本当のこと?馬鹿なこと言わないでよ。

本当に楽しかったくせに。

あたしには見せない顔で話してたくせに。


あたしにはキスすらしてくれなかったあなたは他の子を抱いた。


これのどこが本当のことよ。あたしが好きならなんで他の子を抱くのよ。


あたしを抱いてくれたっていいじゃん。」


「…それはっ………ごめん。」


「やっぱり、それが答えなんだ。

あたしは抱けなくても、他の子は抱けるんだね。」


「だから、ちがっ「もういいよ。」」


「もう言い訳しないで。…あたし達、もう他人でしょ?」


「何言ってんだよ。俺は別れるなんて……」

「これは決定事項なの。……航太。







大好きだったよ!!」



「椎香。」



あたしは航太の声を聞きながら走った。


走って走って走って、




信号を見てなかったんだ。
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