いつか、きみに、ホットケーキ
6. メール

会社に戻ると、菅生さんからメールが来ていた。

『湖山さんへ
今日、最終日ですね。お疲れ様でした。
土曜日は、時間を頂いてありがとうございました。
一枚一枚の作品の事など等、お話したいことが山ほどあったのにと
今更思っています。
いずれまた、機会があったらそんなお話も伺えたらと思います。
ところで、個展が終わったらパネルはどうするのでしょう?
もしも湖山さんがお嫌でなければ是非一枚お譲りいただけませんか?
どの一枚でも結構です。
                                       菅生』


『菅生さん
メール、ありがとうございました。
今日で終わりです。寂しいような、ホッとするような気持ちです。
パネルの件、そう言ってくださって嬉しいです。
何枚でも作れるものなのでどれでも差し上げます。
是非貰ってください。菅生さんさえ良ければ全部!!
今日の夜と明日、個展の後始末です。
菅生さんの心に少しでも残ったものがあれば
別にしておきますので是非教えてください。
                                    湖山』


『湖山さんへ
全部、魅力的なのですけれど、私の狭い部屋には
置ききれなくて私の寝る場所がなくなってしまいそうです。
お言葉に甘えて一番印象に残っている2枚をお願いします。

一枚は線路とホームの写真を。
それからもう一枚は海辺の写真がありましたね。
ギャラリーの一等広い壁の中ほどに飾ってあったもので、
小さい方のパネルです。よろしくお願いします。
パネルはもし湖山さんがご不便でなければ次に弊社にいらっしゃる時に
お持ちいただけたらありがたいのですが、如何でしょうか?
お昼を食べながら、とか。
                                    菅生』


『菅生さん
ランチデート!!ありがとう!とても嬉しいです。
来月の撮影日が決まったらご連絡します。
梅林のパネルは結構大きいと思うんだけど、大丈夫ですか?
良かったら送りますので遠慮なく言って下さい。

                               湖山』


『湖山さんへ
言葉の綾で仰っていることと思いますが、
デートではありません。どうぞ誤解のありませんように。
でも、湖山さんとランチできることはとても楽しみにしています。
パネルの方は弟に車を出してもらおうと思っているので大丈夫です。
お気遣い、ありがとうございます。
では、決まりましたら。                     菅生』
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