君との約束~陸上指切りげんまん~
スタートダッシュ
一條利歩14才。
陸上部2年です。
種目は短距離してます。
実は転部しました、バレー部から。

今思うと最近みたいだ、自分がバレー部だったのが。
転部の理由は大きく分けて2つ。
先輩が嫌。バレーが案外難しい。
すぐ諦める私はやってられなくなり、今年できたばっかりの陸上部に転部した。
そこから新しい私の生活が始まった。





「13.14.15....一着、13.99」

いつもよりいいタイムだった。
「あああーっ疲れた!利歩ナイスファイト!」

「千夏ーナイスファイトー!」

遠藤千夏。私の親友で100mをしている。

「あーもう。利歩、200mなのにずるいよー100mも速いなんて。」

「ええ!?そんな。千夏との間もうないじゃん!てかほとんど同着!!」

「でもー利歩速いしー」

いつも行われる100mのタイムの計測。陸上部の短距離の中ではまだギリギリ速いかもしれない。

「利歩ーお前タイムなんぼ?」

コツンと上から頭を叩かれた。

「 痛い!何すんの海!!」

長距離の三浦海、私をバカにするからグランドには時々私の罵声が響く。
でも実はそんな海のことが好きだったりするのかもしれない。

「13.99だよ!」

「おっそーw俺12.83!」

「そんなん海勝つに決まってんじゃん!長距離速いし男だろ!!」

「でもさー利歩あんだけ短距離頑張ってんなら普通勝つだろー。」

「無理だから、やめて!」

あっかんべーして走って逃げた。



「あー。次の大会何の種目出よう?200mばっかりだし。」

「ええ!?利歩まだ決め無いの?」

「えへへ。実は。千夏は何出んの?」

「私は100mかな。」

「へーっ!」

ザアアッと風が私達の背中を押す帰り道。苦笑いする千夏の口ら思いもしない言葉が出た。

「100mで13.50出すんだ。そしたら、海君に告ろうかなって。」

「え?」

千夏が海に告白。
一瞬頭の中が真っ暗になったが。落ち着いて整理して、問いかけた。

「好きなの?海のこと」

そう言うとコクコクと首を上下にふる千夏。

「海君のこと陸上部入ってから好きだったの、ずっと。だから次の大会で自己ベストすごく更新して告白するの。
返事が何だろうが気にしない。」

真面目な表情で私を見た。

「利歩?」

「なっ何!?」

いきなり名前を呼ばれてビクリと震えた。情けない。

「海君のこと、好き何でしよ?」

「えええ!?んなこと無いよ!うん。本当に!!」

「本当!?」

笑顔で笑う千夏。

「うんうん!本当!!」

「じゃあ応援してくれるよね?」

「?」

「私のこと!!応援してくれないの?」

言葉がつまる。
なんでだろう。海のこと多分本当に好きじゃ無いのに。

「うっ。うん!もちろん!」

待って。口が勝手に受け入れてしまう。
「ありがとう!」

ああ。もう私は海をどう見ればいいのだろうか。
< 1 / 152 >

この作品をシェア

pagetop