囚われた、あなたの腕の下。

頼れる友人も、数少ない。


「け、警察に……行く」


ポツリと呟くと、透はため息を吐いた。


「愛理、最後に聞いてもいい?」

「ん?」

「やり直す気は……ない?」


その真剣な目に、あたしは狼狽する。

そして、答えを出す。


「……ごめ、今は……無理」


こんな人間不信の状態で、ただ縋るような事は、出来なかった。


「……そっか……残念だよ」


一瞬、透の目が冷たくなった気がした。
< 34 / 58 >

この作品をシェア

pagetop