囚われた、あなたの腕の下。
仕方なくあたしは、左側へと移動する。

レバーを下げて押せは、今度はすんなりと開いた。

頭側は、全てスライド扉になっていた。

3つの区画になっていて、左側から、本棚、物置、クローゼット。

白い壁……だけど、ココだけはピンクになっていた。

少し、足がしっかりとしてきた。

ココまでくれば、怯えている暇はない。

恐怖なら、もちろんある。
だけど、あの電話のけたたましい音に、毎日襲われるより、まだ精神的には楽だった。


あたしは、1つ目の扉に手をかけた。

レバーを上から下へ、そして押す。


【ガチャン】


引く!


【ガチャン】


この扉は、開く気配すら見せなかった。

そこは、1つの空間。

右には、お風呂。

左にはトイレ。

そして、目の前は洗面所。そこであたしは、見慣れない服を着ている事に気付く。

誰に着替えさせられたのか、水色の少しヒラヒラとしたワンピース。

知らない間に、裸にされたのかと思うと、嫌悪が込み上げる。


鏡越しに、元の部屋を見る。

部屋には天井以外、窓がない。

お風呂場を覗くと、そこには、小さな窓があった。

だが、少し上に開くだけで、とてもじゃないが、出られない。

お風呂の縁に足をかけ、外を見る。


「嘘……」

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