囚われた、あなたの腕の下。
自由の剥奪
『……愛理?』
その声は、間違いなく透だった。
『愛理?起きた?』
足音からして、お風呂場の方へ向かったのか、また扉が開く音。
その音すら、怖い。
あたしは、三角座りをしながら膝をギュッと抱いた。
『愛理っ!どこだっ!』
バタンっと、扉をたたき付ける音がする。
その音が、恐怖を肥大させる。
見つかるなんて、時間の問題。
だって……。
隠れる場所なんて、クローゼットか……。
【バタン】
ココしか……ない……。
【バタン】
ぶわっと入った、光に目を細める。
見上げると、そこには凄く冷たい目をした……透が、少し息を乱して立っていた。