囚われた、あなたの腕の下。
言って……しまった。
顔が怖くて見れない。
「何、言ってんの?」
あたしは、その問いに答えられない。
ただ、俯いて泣くだけだった。
「愛理?俺、なんかした?」
きょとんとした顔からは、不安と、混乱が見られる。
「嫌だよ。俺は……愛理とは別れない。何が嫌だったの?ちゃんと教えて」
彼があたしの涙を、ポケットから出した綺麗な白いハンカチで、拭ってくれる。
何も答えないあたしの腕をひっぱると、透はサッとお会計をすませる。
そして、足はまっすぐと駐車場の車に向かった。
立派な黒の外車。
もう一台車を持っていると聞いてはいるが、それは見た事がない。