S系少女
「でも遅かったね?購買にしては…」


俺が聞くと、法華は肩をビクッ と揺らした



「…う…うん。…ちょっとゆっくり行ってまして…」


「?でも何でそんな息切らしてんの?」



「えっ?!…とと途中から走ってきたんです!階段をダッシュしたから…。」



異様な焦り様…


絶対何か隠してる!



───その時、あることに気付いた。



「…あれ?ここの購買ってパン売ってたっけ?」



昨日通りすがった時には確か、お菓子とかジュースしかなかったような…。



「…。」


法華は黙って目を泳がせていた。



まるで何か言い訳を探しているかのような挙動不審さ。



「だからこれは…」


「法華ーっどこ行ってたの?弁当食べよ♪」



自分こそ他のクラスに行っていた法華の左隣が帰ってきた。



「梨世ちゃん!…じっじゃあ、これからお昼ですので…」



法華はやっぱり言葉を噛みながらこちらに手を上げ、自分の席に座った。


そして鞄から、何食わぬ顔をして弁当を取り出した。



…え?;;;



「法華?!何で弁当あるのにパン持ってんの?!」



「?…!あっパン…そうだ、私が買っちゃったんですね…どうしよう…」



何か…色んな意味で大丈夫か?!



「買っちゃったって…それも校内じゃ売ってないやつだし、まず街行かなきゃじゃん!…今行って来たんだよね…?」




学校を出て一番近い店(本屋)でも5分は掛かる。



それを15分もしない内に往復出来るなんて、まず男子でも難しいだろう。




「…た、足りないと思って!でも大丈夫みたいです…あっ加須君あげます!」


法華はそう言うと、未だに寝ている右隣の腕にパンを押し込んだ。



そして黙々と食べ始める…。



「…まぁいっか。」



左隣はそう言って切り返したけど、俺には何か引っ掛かりがある気分だった。



「…グ────…」




…て右隣まだ寝てるし!!

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