S系少女
「付けてあげますね」


「え?…ちょっ」



左手をとられ、手首にそのヒモをくくりつけられた。



「…私とお揃いですね。」


「…うん。…ありがとう…」



内心…ちょっと照れた。



その照れ隠しに、顔を逆に向ける俺



「…あっもうこんな時間!電車乗り遅れちゃいますっ」



法華の声に振り向くと、既に出入口の前で手を振っていた



「夾ちゃん、じゃあねーっ!」


「…あぁっ、…今日はありがとなーっ」



つられて叫ぶ。



「うんっまた明日ーっ」



そして法華は走っていった。



────“また明日”



…当たり前のことなのに、少し変な気持ちになった



今までにない、変な気持ちに。




────それから次の日、学校でお揃いのミサンガがすぐに見付かり、さらに誤解が深くなったことは言うまでもない。


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