S系少女
皆の声は法華の耳を、停まることなくすり抜けたらしい。



それでも誰一人として聞き返さない+突っ込まないのは


法華の性格を充分に分かっているからだと思う。



「……。」



勿論、俺も。



「次は、今日は校長先生が出張で不在の為、変わって田中教頭先生よりお話です」



「…あれ?校長またいないんだ?」


「この前の集会もいなかったよねー。」



そういえば、この学校の校長は入学式で少し見ただけだ



あの時は話短かったし、その後いつの間にか姿を消してて…顔を覚えてないし、むしろ名字も知らない。



知ってることと言えば、初めて法華に会ったときに“面倒くさがり”だって聞いただけ



法華が校長の性格を知っているのもきっと、在校生に誰か知り合いがいるからだろう。



それから数分後、対面式が終わり教室へ向かう途中放送が入った。



『先日行われた実力テストの上位順位の結果が出ました。学年ごとに各教室の階の廊下に掲示するので、確認してください』



「どうせ俺には関係ねぇよー」


「私もー。法華、教室行こっ」



「…でも…」


法華が指差した先には、ウチの教室の真ん前に提示されている紙が。



「ちぇーっ嫌がらせかよーっ」


「あははっ。梨世ちゃん可愛いー。…夾ちゃん見てきますか?」



「あー一応見るかな。自分の名前ないのは承知だけど…。」


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