ひらり、と聴こえる
Prologue
今の私がいられるのは

みんなのおかげだよ、なんて
今さら言わない。


だけどね
あんな風に過ごした日々を、よかったって心から思うよ。

私はもう、1人じゃない。
それはみんなそう。


ねぇ、1人だなんて思わないで。
私がいる、みんながいる。

誰も助けてくれないなら
私が行くよ。



「本当に?」
意地悪く笑ってくる彼だって

「そんなに感謝されること、した覚えないけどー」
とぼける彼女だって

「俺、超かっけぇじゃん」
おどける彼だって



「…ありがとう」
微笑む、あなたたちが

教えてくれたんだよ。


聴いて。応えて。
あなたは今、幸せですか?

これだけは、覚えていてほしいんだ。
忘れないでね。



独りじゃないよ。
怖いなら、叫べばいい。
辛いなら、泣けばいい。
苦しいなら、蹲ってしまっても大丈夫。

私たちはそうやって、大人になって…


こんな気持ちを
確かに教えてくれた人がいた。
誰にでもいる。あなたを必要としてる人が。

それは、私もそうなんだよ。
だけど…、なんて言わないでね。



私は今、ここにいられることが
笑っていられることが

本当に本当に幸せだって
思えるんだから。
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