二度目の片思い
「さっきのって、こないだテレビでやってた野球の試合で、ヒーローインタビュー受けてた選手が言った言葉だよね」



打ったら走ります!って。

そうしてまたくすくす笑った彼女に、俺は意外に思いながら首をかしげる。



「そうだけど……藤咲ってプロ野球中継観るくらい、野球に興味あったっけ?」



俺のせりふに、一瞬きょとんとした彼女は、次の瞬間カッと頬を赤くして。

そしてしどろもどろに、話し出す。



「えっと、だって、あの……」

「ん?」

「……越田くんは、野球、好きでしょう?」



だから、その。

若干うつむき気味に言い淀む彼女のつむじを見ていて、ピンときた。

……つまり藤咲は、“俺が”好きな野球だから、興味を持ってくれたということで。

それだけで俺は、つい口元が緩んでしまう。



「……な、藤咲。吹部が応援来るのって、準決勝からだっけ?」

「へ? う、うん」



話の流れをぶった切っての俺の質問に、藤咲は少し戸惑いながらも答えた。

ニッと、また俺は笑みを浮かべる。



「じゃあ、絶対そこまで勝って、吹部に応援に来てもらうから。藤咲はがっつりバッチリ、応援の準備しとけよ」



自信満々な俺の言葉に、彼女は目をまるくして。

だけどすぐにはにかんで、大きく頷いた。
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