二度目の片思い
「藤咲、昨日のこと、覚えてない?」

「……ッ、」



まさかという思いで訊ねたそれに、藤咲は、わかりやすく肩を揺らした。

少しだけ怯えたような表情で、黙ったまま俺に視線を向けている。



「………」



それが、気に入らなくて。

俺は無言で、彼女にまたがるように、からだを起こした。



「ッきゃ……」



とっさに胸元を隠そうとした藤咲の両手を頭上で一纏めにして、自由を奪う。

混乱した様子で、彼女は俺を見上げた。



「こ、こしだくん?」

「……そう、藤咲昨日のこと、覚えてないんだ」



無表情で見下ろしながら呟いた俺に、また藤咲が、表情を歪める。

俺は自由な左手で、そんな彼女の右太ももをするりと撫でた。

びくん、彼女が反応をする。
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