二度目の片思い
「……はぁ、」



自宅であるアパートの鍵を開けながら、俺は深々とため息をつく。

自分のすぐ後ろには、覚束ない足取りの藤咲。

なんか、本当に対応に困って、つい連れて来ちゃったけど……かなりマズイな、この状況。

どーぞ、と彼女を1DKの室内に案内した俺は、部屋の電気をつけてエアコンのスイッチも入れる。

そうして、彼女に水を渡してやろうと考えたところで──くっと、何かに引っ張られる力を感じた。



「………」

「ふじ、さき?」



見るとそれは、彼女が俺の着ている服のすそをちょこんと掴んでいるところで。

藤咲は熱に浮かされたようなとろんとした目で、俺を見上げている。

……ああ、これはマズイ、本格的に。

そう思って、やんわりと、その手を離そうとしたそのとき。
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