二度目の片思い
「こっ、越田く──」

「……うん。俺も、ずっと前から、藤咲のことがすきだよ」



そう言いながらちゅっとリップノイズをたてて、和晴は彼女の額に口づけた。

そんな彼に対しポカン、と、彼女が口を開けて、彼を見上げる。



「え、う、うそ、」

「……嘘なんかじゃないよ。藤咲は、俺がすきでもない女の子とああいうことすると思ってる?」



苦笑いでまっすぐに見つめられて、彩音は「で、でも」と言い淀みながら視線を逸らした。

和晴はそんな彼女の頬を両手で挟みこんで、すぐにまた、自分の方を向かせる。



「……でも、じゃない。俺はずっと、藤咲だけがすきだった」

「……ッ、」

「信じて、くれる?」



今、自分を見つめるその瞳は。

あの頃ずっと、欲しかったものだ。

欲しくて、でも自分なんかじゃ無理だと決めつけて、諦めて。


──今度は。



「……うん、」



今度こそは、後悔なんか、したくない。



「うん。……私、越田くんのこと信じる」



そう言いながら、彼の首に腕をまわして抱きつくと。

彼は「ありがとう」と呟いて、自分のからだを抱きしめ返してくれた。

それがうれしくて、思わずうっとりと目を閉じかけるけど……すぐにハッとして、彩音は彼の肩口から顔を上げた。
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