二度目の片思い
「あ、あの、まさか私、昨日自分から越田くんに迫ったんじゃ……?」

「いや……うーん……」



彩音の言葉に、少しだけバツの悪そうな表情をした和晴は。

ポツポツと、昨夜の出来事を語り始めた。



「藤咲、さ。昨日の一次会で、となりに座ってた長野に結構酒すすめられてただろ?」

「う、うん……?」

「いやまあ、俺見てたんだけど、かなりの量だったんだよ。そしたら藤咲、二次会行くぞってなったときには、もうベロベロに酔っぱらってて」

「………」

「んで二次会の会場まで来たはいいけどさ、藤咲結構序盤に、いきなり泣き出して。……しかもそれが、なぜか俺の名前呼びながらだったもんだから……他の奴らに言われて、俺が藤咲を送って帰ることになったんだよ」



そこまで言って、彼はまた、彼女を抱き寄せる。



「けど藤咲、何回聞いても住所教えてくんねーし。……そっからはまあ、藤咲がとりあえず落ち着くまでは、俺の家で休ませようと思って」

「………」

「……けど、いきなり藤咲が、ずっと俺のことすきだったとか言い出して、」

「………」

「俺だって、ずっとすきだったし。……藤咲は、かわいい顔で、俺のこと見つめてくるしで、」



まあ、そういうことに、なりました。
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