二度目の片思い
「私の親が、ふたりとも学生時代に吹奏楽部だったんだって。だから昔から、楽器は身近にあったんだぁ」

「へー。藤咲、トランペット上手いもんな」



その彼の言葉に、思わず首をかしげて。

今度こそ私は、疑問を口にした。



「……越田くん、私の演奏、聴いたことあるの?」

「あーだって俺、野球部だから。吹部よく応援来てくれんじゃん」

「ああ、そっかぁ」

「去年の秋大んとき、藤咲ソロで吹いてたじゃん? あれ聴いて、スゲーなって、思ってた」



屈託なく笑顔でそう言われて、思わず頬が熱くなった。

ありがとう、と言葉を返すと、どーいたしましてと律儀に返事がくる。

赤面する私に気付いているのかいないのか、彼は「つーか、」とさらに会話を続けた。
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