二度目の片思い
そして、月日はあっという間に流れて。
もう卒業を間近に控えた、高校3年のバレンタインデー。
すでに3年生は自由登校になっていたこの日、彼が野球部に顔を出すという情報を事前に確認していた私は、ある決意を胸に学校へと来ていた。
「……越田くん!」
元チームメイトたちと揃って校区を後にしようとしていた彼を、第2グラウンド脇で呼び止めた。
振り向いた彼は一瞬驚いたような顔をして、だけどすぐに「藤咲! 久しぶりー」と言ってパッと笑みを浮かべる。
その表情に、理屈なしできゅうっと締めつけられる胸。
まわりにいる彼のチームメイトたちの視線が痛いけれど、私はまた口を開いた。
「あの。越田くん今ちょっとだけ時間ある?」
「今? 別にいいけど……」
言いながら越田くんがチームメイトを振り返ると、彼らは「ごゆっくりー」なんてニヤニヤ笑いながら先にこの場を後にした。
なんだか私の気持ちを見透かされている気がして、頬に熱が集まる。
もう卒業を間近に控えた、高校3年のバレンタインデー。
すでに3年生は自由登校になっていたこの日、彼が野球部に顔を出すという情報を事前に確認していた私は、ある決意を胸に学校へと来ていた。
「……越田くん!」
元チームメイトたちと揃って校区を後にしようとしていた彼を、第2グラウンド脇で呼び止めた。
振り向いた彼は一瞬驚いたような顔をして、だけどすぐに「藤咲! 久しぶりー」と言ってパッと笑みを浮かべる。
その表情に、理屈なしできゅうっと締めつけられる胸。
まわりにいる彼のチームメイトたちの視線が痛いけれど、私はまた口を開いた。
「あの。越田くん今ちょっとだけ時間ある?」
「今? 別にいいけど……」
言いながら越田くんがチームメイトを振り返ると、彼らは「ごゆっくりー」なんてニヤニヤ笑いながら先にこの場を後にした。
なんだか私の気持ちを見透かされている気がして、頬に熱が集まる。