初恋の続きをもう一度【完】
いつもよりも仕事を早くこなして、気づけば午後7時50分になっていた。
私は帰る支度を済ませ、1Fのロビーへ向かった。
ロビーに到着したとき、ちょうど中村常務もやって来た。
「じゃ、行こうか」
「はい」
社を後にして、私は常務の車に乗った。
数十分後―。
連れてこられたのは有名なイタリアンのお店。
私達は店内に入った。
「一ノ宮さんをここに連れてきたのは、企画書のこともあるけど、
他に理由がある」
料理を注文した後に中村常務が言った。
「それは一体なんですか?」
「その様子だと全く検討がつかないみたいだな。
俺のこと覚えてない?」
中村常務は事務的な態度から一転して、
優しい笑みを浮かべた。