先輩、



久しぶりに見た先輩は


気のせいなのか



ただの 考えすぎなのか






…ちょっとだけ 痩せて見えた。










「洋ちゃん、行かなくていいの?」



美奈子せんぱいが そっと囁く。











宏斗先輩のことだって…



聞かなくても、わかってるけど






行ってどうしろっていうんだろう…



そんな想いが溢れそうになる。














ふと気付くと、





いつの間にか隣りにいた ちとせまで


あたしを押していた。










部活が一緒で 仲良くなった ちとせは




サバサバした性格で、


ショートカットがよく似合う。









あたしが ちとせを見ると、






ちとせは周りには聞こえないように


だけど強い口調で こう言った。












「洋子さあ、バレバレなの!
 藤峰先輩のこと好きなんでしょ?


 …後悔したくないなら

 早く行っておいで!」













ちとせは、やっぱりカッコいい。













だけどあたしは

軽く首を振って つぶやいた。







「無理だよ…」














あたしには、



先輩を見つめてるだけで


精一杯だったんだ。






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