先輩、
その時、後ろから
美奈子せんぱいを呼ぶ声がした。
「浦井~?」
特徴のある声。
あたしの大好きな声…
自分の顔が熱くなるのがわかる。
「宏斗じゃーん 何?」
美奈子せんぱいが言うと、
先輩は 不思議そうな顔をして
「あれ? 浦井が呼んでるって言われて来てんけどなあ~」
と言った。
「まじ?呼んでないけどなあ~
誰が言ったの?それ」
せんぱいが尋ねる。
「たしかバスケ部の、髪短い子!」
そのとき、気付いたんだ。
ちとせが、
満面の笑みを浮かべて
こっちを見てることに。
『 が ん ば れ 』
あたしと目が合った瞬間
ちとせの唇が、
確かに そう動いた。