先輩、
「ほんで?自分は?」
そう聞かれて、まだ自己紹介を
してなかったことを思いだす。
「あ、えっと…
2年4組の奥田洋子です!」
もう 先輩は卒業したのに。
あたしは もうすぐ3年生になるのに。
何かを知ってもらいたくて、
無駄に クラスまで
付けたしてしまった あたし。
「あぁ、
2の4てあれやろ 市田のクラス!
俺 あのオッサン嫌い!!
ひいきしよんねん!
俺あからさまに嫌われとるし!!」
それでも
顔をしかめながら
あたしのクラスの担任について
愚痴る先輩を見てたら、
なんだか 緊張もほぐれて笑えてきた。
「ふふふ… 市田って遅刻常習犯に
厳しいですもんね!!」
先輩が どきッとした顔であたしを見る。
「何、なんでバレてんの!?」
マフラーに顔をうずめたまま
目だけ こっちに向けてる先輩。
あたしは、心臓の音が
聞こえちゃうんじゃないかって
心配になって
思いっきり笑ってみせた。