悠久を君に
兄貴は中学に入ると、少し変わった。
髪を金髪にし、ピアスも開け始めた。

それでも家の中ではいつも気のぬけたアホな兄貴だけど、外に出ると違った。

その時俺は中1で、中学校生活を送ってる兄貴を学校で見かけた時は衝撃を受けた。

雰囲気がまるで違っていたから…俺の知ってる兄ではなかった。

どこかピリピリしていたし、どこかその目は空虚感を漂わせていた。

(何でそうな風になったんだよ?)

なんて聞けるわけもなく。
だけど学校で俺を見付けては、笑って近付いてくるその姿は兄貴そのもので。

例え、"不良グループ"と言われているその中にいてもだ。

「悠平のお兄さん、おっかねぇよな」

よく友達に言われた言葉。

「どこが?」

そして、よく友達に返した言葉だ。

「どこがってお前―…まぁ自分の兄貴だからそう思わないのか」

俺の兄貴は気のぬけたアホな野郎で、おっかなくなんかない。

家に帰れば「悠平」「母ちゃん」「父ちゃん」から始まって、どうでもいい話をする。

そしてケラケラ笑って自己完結。
どうしようもない奴。

だけどそんな兄貴が好きなんだ。
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