【短編】甘い野獣を愛してる
 ……って、何だよ。

 顔が赤くなったぜ?。

 あ?

 照れてるのか?

 マリアがそんな顔するなんて、珍しいな。

 愛してる、って言う言葉に反応したのか?

 かわいいな。

 じゃ、もっと言ってやる。


 愛してる、

 愛してる、愛してる……


 ……って、違う!?

 じゃ、なんだよ。

 え!!

 一日早いけどオレのために、バレンタインのチョコレートを持ってきた!?

 しかも、本命チョコ!?

 うそだろ! 本当(マジ)かよ!?

 オレとつき合ってくれるのか!?

 ああ?

 そりゃ、好きでもなけれりゃ、こんな夜に男の部屋までついてこねぇだろうが、よ!

 でも、マリアはオレに、冷たいキスをさせてくれるだけだっただろ?

 しかも、お前。

 いつも、オレが風呂に入っているうちに黙って勝手に帰るし?

 ……最初の出会い方が、悪かったからな。

 本当は、オレが怖いんだろう?

 いいぜ、無理しなくても。

 え?

 もう、帰らない?

 今日は大事な買い物に付き合ってくれたから、これから先、ずっとずっと一緒に居る? 

 ……マジか!

 ちくしょう! 参ったな。

 うれしすぎて、オレ、アタマん中、真っ白だぜ。

 愛してるぜ、マリア!!

 きっ……記念に、またお前にキス、していいか?

 でっ……できればその先も……

 もちろん、痛いコトなんざしねぇよ!

 マリアはオレのたった一人の、愛しい女だ。

 羽のように抱いて、キモチイイことだけ、シてヤるぜ?

 その前にシャワー?

 あ……ああ、そうだな、使えよ。

 でも、今日はお前が先……な?

 このタイミングで、もし。

 いつもみてぇに帰られたら、オレは二度と立ち直れない気が……

 大丈夫?

 ああ……ああ、信じてるよ、マリア。

 だけど、今日だけは……頼む。

 そのかわり、オレはチョコレートに合うワインを用意しておくから。

 風呂から上がったら、お前のチョコレートをベッドで一緒に食おうぜ?

 ……って、まて、まて、まて!

 やっぱり、今、風呂場はダメだ!

 ……

 …………

< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop