我妻教育〜番外編〜
以前、姉は、コンサートの舞台の上に三メートルにも及ぶ大作を作成したことがあった。



作成中に脚立から転落するという事故が起きて、姉は腕を骨折した。


だけど、傷だらけでギプスをした腕のまま、一人で作品を完成させた。



その姿を見て鳥肌が立った。


なりふりも構わず、熱中している姿は美しいんだと気づかされた。


完成した作品は、見上げるほど大きく、心に押し迫ってくるような迫力があり、何より美しかった。




どうせ、この家は兄のもの。

そして、そのあとは兄の子どものものになる。



やりたいことがあって、才能も伴っているなら、姉さん、こんな家、出て行って正解よと、その時強く感じた。


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