我妻教育〜番外編〜

その弐

私の家の敷地内にある竹林に囲まれた小さな離れの茶室。



ここは、よほど親交の深い人たちしか招かないプライベートな茶室だった。


だから、人の気配はほぼないと言ってもいいくらいの場所。



なぜかそこに隠れるように身を小さくしていた2人の子どもは、私の姿を見るなり竹林の中に走って逃げようとした。


私は慌てて呼び止めた。


「お待ちなさい!!

あなたたち、…確か、お名前は若葉くんと萌花さんだったわね?!」



2人の子どもは、名を呼ばれ、仕方なしに足を止め、怖ず怖ずと振り返った。


威嚇するような男児と、怯えた女児の目が私に向けられる。



この2人の子どもは、未礼嬢のご友人、桧周 友基也さんの実の弟と妹だった。

< 137 / 493 >

この作品をシェア

pagetop