我妻教育〜番外編〜
嫌な予感にかられた。



「…桧周さんに連絡して迎えに来ていただきましょうか?」


私が携帯電話を取り出し、操作しようとしたら、


「やめろ!!」


若葉くんが叫んだ。

強張った顔で私を睨んでいる。


小学生らしい日に焼けた肌。
短くて硬そうな髪。

背が高くて、一重の鋭い瞳は、お兄さんとそっくりだわ。



「すぐ、ここから出て行くから!」


若葉くんは、無愛想に言い放つと、強引に萌花さんの手をつかんで歩き出した。



グズグズ泣きながら、手を引かれる萌花さんは、兄とは反対で色白で華奢。

いわゆるおかっぱ頭で、非常に女の子らしい可愛い子。



「ちょっと!行くってどちらへ!?
ご自宅へお帰りになるのよね?」

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