我妻教育〜番外編〜
「弟さんたちの家出に心当たりはあるんですの?」


「…」

尋ねると、桧周さんは無言になった。


「私ったら、よそのお宅の事情に…、出過ぎた質問だったわね」



「…いや、いいんだ。
実は、恥ずかしい話なんだけどさ、今朝ちょっと言い合っちまって」


桧周さんは、バツが悪そうに頭をかいた。


「今朝はいつもより早く出社しなくちゃならなかったのに、萌花のヤツがグズってなかなか学校行く支度しねぇから…」



「それでケンカに…」


だから、あの子たちは、桧周さんに会いたがらなかったんだわ。

いえ、それより…、


「桧周さんが、弟さんたちのご面倒を見てらっしゃるの?

失礼ながら、保護者さまは…」



「親とは一緒に暮らしてねェんだ」


「え?」

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