我妻教育〜番外編〜
上品なクリーム色の着物を着たその女性は、客人たちに美しい所作でお辞儀をした。



彼女こそ、兄、善彦の婚約者、小百合(サユリ)さんだ。

兄よりも少し年上。


小百合さんは、若くしてすでに竹小路流を代表するような腕前の師範だった。


うちとも関わりの深い家のお嬢様で、父にも腕を認められている。



最近では、このように会合を仕切るような立場になっているし、うちが行っている事業(華道教室など)の経営にもすでに関わっているようだった。



プライドが高そうな小百合さんが、私はちょっと苦手だったけれど、今後は義姉になり、そして、私よりも竹小路家中核の人間になる。



気の強い私や姉とは反対で、兄はどう見ても気の弱そうな見た目と性格をしているから、姉さん女房なお相手はピッタリなのかもしれないわね。


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