我妻教育〜番外編〜
指には血がにじんでいたけれど、萌花さんは遠慮がちに「大丈夫」と言った。



「…割って、ごめんなさい」

若葉くんが頭を下げた。


「いいのよ、湯のみくらい」


幸いにも萌花さんの怪我は指表面の薄皮を切った程度でたいした傷ではなさそうだった。



「このくらいの切り傷なら、私でも手当てできるわ。
いらっしゃい」



割れた湯のみの片付けを使用人にまかせ、私は萌花さんの手当てをすることにした。


手際よく消毒をし、絆創膏をはる。



「すごぉーい。保健室の先生みたい〜」


萌花さんは、ニッコリ笑った。

それがあまりに可愛らしい表情だったから、


「こう見えても私、昔は看護師になりたかったのよ」

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