我妻教育〜番外編〜
と、つい気を良くして言ったら、


「じゃあ今は?」


若葉くんが聞いてきた。


…今の夢?


「…今は、ないわ」


立つ瀬がない気になって、小さく咳ばらいをし、顔にかかった髪を耳にかけた。


自分から話しはじめた夢の話だったけど、かえって墓穴を掘ってしまったようだわ。



若葉くんは気のない声で「ふぅん」と言って私から顔を背けた。



私の携帯電話が鳴った。


桧周さんからだった。


チラリと若葉くんの顔を見た。



若葉くんは、察したのか、

「家には帰らないからな!!」


萌花さんの手をギュッとつかみ、威嚇する様に私を見る。


隙があれば逃げ出して行ってしまいそうな雰囲気。

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