我妻教育〜番外編〜
「あら。私、お世辞は申し上げない主義なんです」


ツンとして言ったら、電話の向こうで、桧周さんの笑顔が感じられた。



『優しいのはお前の方だぜ。

マジ助かってる』



さっきまで、少し疲れたような声だったのが、気になってたんだけど、大丈夫のようね。



電話で声だけ聞いていると、誰と話しているのかわからない錯覚に見舞われた。



そもそも、粗暴そうな見た目の桧周さんが苦手で、今までロクに話したことだってなかったんだから。



声色は低く、大人。

反面、口調はまだ悪ガキっぽさもあって。


子どもではない、大人ってほどでもなくて、非常にアンバランスだわ。

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