我妻教育〜番外編〜
「ご覧の通り、仲は悪くはないわよ」



「悪くはない??」


萌花さんは、ウサギのようなつぶらな瞳で首をかしげた。



「ええ。なにぶん、年も離れているし、兄は仕事も忙しいし。

一緒に住んでいたって、会わないことの方が多いのよ」


「ふぅぅん。寂しくないの?」


「今までもずーっとそうだったから、寂しいとか考えたことないわ」


「ふぅぅん」



「萌花さんは、お兄さん(桧周さん)に会えなくて寂しいんじゃないの?」


少し突っ込んだ質問をすると、萌花さんは、黙ってうつむいた。


そして、ポツリとつぶやいた。


「…お兄ちゃんの、タメだから」


「…え?」

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