我妻教育〜番外編〜
周囲の乱れは心の乱れに繋がる。


整理整頓しかり、身嗜みしかり、話し方や書く文字にいたるまで。


乱れた心では、優れた作品を生み出すことはできない。


心と表現するものは、表裏一体なのだと。


父が常々厳しくそう言っていた。




字が美しい。

言葉遣い、話し方が美しい。



「私は思うんです。
字や話し方が美しい方は、きっと心も美しいんだと」


綾人さんは、正にその“美しい人”だと思っていた。



そうお伝えしたら、綾人さんは、照れか困惑か、わからないような曖昧な表情をした。


けれど、すぐにいつもの友好的な笑顔になった。


「それを言うなら琴湖ちゃんもだよ」

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