我妻教育〜番外編〜
「私?」


「話し方なんて中学生とは思えないくらい雅やかだし。

それに字もとってもキレイだ」


綾人さんは、私がさっきここに来たときにお渡しした孝さま宛ての手紙を手に取り、感心した風に、宛名(私の直筆)を眺めている。



「…そうかしら」

私も曖昧に笑ってしまった。



「琴湖ちゃんの持論で言うと、琴湖ちゃんも心が美しいってことだ」



逆に褒め返されると、話をふったのは私の方にも関わらず、どう返答してよいのか戸惑ってしまって目をそらした。



「…私に関しては、違うと思いますわ。

別に私の心が純粋に美しいわけじゃないと思います。

単に、“仕込まれて”生きてきただけですから。

褒められても、何だか、私であって、私でない気になってしまいますわ」

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