我妻教育〜番外編〜
私が口に出した話の内容から、医師と会話していたのは、おそらく誰が聞いても明確だった。



「私、幼い頃、身体が丈夫ではなくて…、今は全く元気なんですけど、検査だけはいまだにさせられてまして」


努めてあっけらかんと話した。

言いたくない。

だけど黙っていることで、逆に勝手な想像をされたくなかったから。



私の話を聞きながら、綾人さんは静かに頷いた。


知らない事を聞いている感じがしなかった。



「…ご存知でいらっしゃるのね?」


どうやら私の病気のことは知っているようだった。



「ああ。少しだけ…知ってる」


綾人さんは、抑えた声で返事をした。

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