我妻教育〜番外編〜
「…あの、梅乃木くん、…ちょっと、いい?」



休み時間。


借りた教科書を返して、クラスに戻る途中に、クラスメイトの蛯波瀬 煌空翔(エビハセ キラト)に声をかけられた。



1組の中で一番大人しめの性格で、ウサギみたいに、つぶらな瞳で、いつもオドオドしている。


だけど、心優しい良いヤツなんだ。



確かお家は、飲食店の経営をしていた。



暗い顔をしたキラトの手に持たれたモノに、目をやった。



大きく破れて使いものにならなくなった教科書だ。



ラメ入りのペンで名前がかかれている。



ボクの教科書だった。




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