我妻教育〜番外編〜
「…別に、孝市郎からはっきりと聞いたわけじゃないよ。

ただ、昔、孝市郎がよく病院にお見舞いに行ってたことは知ってた。
小さな女の子が喜びそうなものを持って。

それが琴湖ちゃんだってことはすぐにわかった。

孝市郎が琴湖ちゃんのことを本当の妹みたいに可愛がってるのは知っていたから」



そうでしたか、という言葉すら発することが出来ず、私は気まずくて目をそらした。


頬に綾人さんの視線を感じた。


「他人に詮索されたくないよね。
琴湖ちゃんが困るなら、僕は、何も知らないことにしておくから」


心配しなくていいよと、さらりとした口調で綾人さんは言った。

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