我妻教育〜番外編〜
「…ここに来たのは、兄ちゃんが、行きたかった世界を見てみたかったから。

一度でもちゃんと見てみたかったんだ。

どういう所に行って、何がしたかったんだろうって。

萌花とオレのために、夢をあきらめさせちゃって、ずっとゴメンって思ってたから」


心底申し訳なさそうに若葉くんは唇を引き締めて下をむいた。



桧周さんは、そんな若葉くんの姿をジイッと考え込むように見つめ、それから若葉くんの顔をのぞきこんだ。


「…若葉、お前、野球辞めたのはもしかして…オレに気を遣って…?」



更に深くうつむく若葉くん。

どうやら図星のよう。


桧周さんは、ため息をついた。


「…お前な、、、。
お前らがオレに気なんて遣わなくっていんだよ」


「だって、オレだけやりたいこと続けるなんて…」


気がひけるから。

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