我妻教育〜番外編〜
「あのさ、オレが就職を選んだのは別にお前らのせいでもなんでもねェよ。

最終的にそう決めたのは、オレ自身だから。

気に病むことなんかねェんだからな」


桧周さんは、しゃがんで若葉くんたちに視線を合わせながら言い聞かすように語りかけた。


けれど、若葉くんは口をつぐんだまま。


気にせず、桧周さんは話を続けた。


「オレはずっと若葉が羨ましいと思ってんだ」



え?と若葉くんは視線を上げた。


「若葉には、野球っていう夢があって。

これっていう夢とか目標とかないままオレ、生きてきたからさ」



桧周さんは、情けないような表情で首をすくめて、それから真面目な顔になった。

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