我妻教育〜番外編〜
「元々、グリーン☆マイムに参加してたとしてもさ、来年には就職するつもりだったんだ。
一年早くなっただけだ。

オレは親父の会社に入って、そう遠くない将来、それなりの重要なポストにつく。

生まれたときから決まってたことだ。

嫌じゃねェし。
むしろ光栄なことなんだろうって思ってる。

ただ…、」


桧周さんは続きをためらうように言葉につまった。


若葉くんは目を見開いて桧周さんを見つめていた。

真剣に兄の話を聞いるのが傍目にもわかった。



桧周さんも、若葉くんの気持ちに応えるように、再び語り出す。


「…ただな、一度、会社の歯車の中に入っちまえば、オレの人生は、オレでいて、オレじゃなくなっちまうんじゃないか…?

そんな気持ちがずっとあった。

けど、何ができんだろうって思ってた時、孝市郎さんと話をする機会があって。

これだ!って思った。

孝市郎さん、すげェかっこよかった」

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