我妻教育〜番外編〜
ちょうど兄の善彦から電話が入った。


夕食の約束をしていた件だわ、きっと。


急いで電話に出たら、開口一番兄が謝ってきた。



『悪い。焼肉、行けなくなっちまった』


「まぁ。…お仕事ですか?」



『…う〜ん、まぁ、』


兄は、言葉を濁してハッキリと答えなかった。


兄のドタキャンは今に始まったことではなかった。

確かにお忙しい立場にある人だし。



だから私も理由をそれ以上聞き出す気はなかった。


「若葉くんたちも楽しみにしてたでしょうが…。
仕方ありませんわね」



『いや、予約はしたままだし、もちろん支払いは俺が請け負うって店に連絡しておくから。

少年たちの兄貴でも誘って行ってこいよ。

良い仲直りのチャンスになるかもしれないぜ』

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