我妻教育〜番外編〜
「おめぇは、ほんとマジ色気より食い気だよな」


桧周さんは、未礼嬢を見て呆れたように笑っている。



「美味しいモノを食べることが、人生の幸せなんだよ♪
いただきま〜す」


未礼嬢は葛餅をほおばり、本当に幸せそうな顔をした。



未礼嬢を見る桧周さんの瞳は、若葉くんたちに注がれているそれと同じで、温かい。


未礼嬢にとっても、桧周さんは良いお兄ちゃんといった風。



私はそんな2人質問した。


「仲がよろしくいらっしゃるのね。

いつからですの?」



桧周さんは、未礼嬢と少し顔を見合わせて、それから私の質問に答えてくれた。


「ほら、前に話しただろ?

うちの親父が再婚して、親とオレら兄弟が上手くいかなくなって家出したりしたってコト。

で、この部屋に兄弟だけで住み始めたって」

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